フェラーリのマーケティング戦略
フェラーリのマーケティング戦略は、独特です。「欲しがる客の数よりも1台少なく売れ」という戦略をとっています。日本のコンビニエンスストア等では、機会の損失を極端に嫌います。品切れの状態にしないためにどうするのか、にフォーカスしているところがほとんどです。これとは逆の戦略を、フェラーリは採用していると言えます。
他の自動車とは一線を画した特別な付加価値を持っているのが、フェラーリ 車です。長く、安心して乗れるという意味では、日本車やドイツ車の方が評価は高いです。しかし、一般的な車とは1桁も2桁も違う金額のフェラーリ 車は、世界中で購入され、愛されています。
フェラーリ 創業 者のエンツォ・フェラーリは、レースを走るドライバーでした。勝つことのみに注力する彼は、レースに出場し、優勝するための資金集めに没頭します。フェラーリを買うことには、客にとってフェラーリの活動を支援するという意味合いが強くありました。
空調や静音には目もくれず、その他の価値を追い求めます。マーケティング 調査でも、顧客が仕上げの品質や快適さを求めていないと、初めから見抜いていました。
フェラーリには、節目の年に販売される限定生産モデルがあります。これらは、欲しければ誰でも買える商品ではありません。優良な顧客のみがその権利を得て、審査をパスしなければいけません。
マーケティング 調査 で何台売れるのかを細かく見極め、生産台数をそれよりも1台だけ少なくして販売します。こうすることで、車はすぐに売れ切れ、中古市場にたくさんの数が出回って価値が下がることも防いでいます。
この手法をとれば、不特定多数の顧客に宣伝をする必要もなく、特別感を煽られた特定の存在が購入することになります。発売前に完売するというある種異常な事態が、まかり通るやり方です。
フェラーリはマーケティング戦略として、売り込みをしません。顧客の方から代理店に連絡をして、「買わせてほしい」とお願いをするという特殊な販売形態になっています。
欲しがる客と比較して1台少なく販売することで、フェラーリは希少性という価値を生み出しました。必要以上の数を販売すれば、希少性を維持することができません。「どうしても手に入れたい」と顧客に考えさせることができるかどうかが重要です。
人は本能的に自由を求めているので、手に入れられる自由を失うことを嫌います。欲しいものに希少性があるとわかれば、無性に欲しくなる心理を、「心理的リアクタンス」といいます。フェラーリのマーケティングには、「心理的リアクタンス」が巧みに利用されています。これが、フェラーリを買うことで得られる付加価値の本質です。